進路面談

『この人を、一体どうすればいいのか?』



ずらりと並んだ5名の一流社会学研究者が議論を交わす光景に、
時折り、思わず他人事のように見入ってしまう。



それを前に発言は、2カ月前から、いや10年以上前から相も変わらず
「社会問題を資本主義のメカニズムを活用して解決することに挑戦したい」
ということばかり。自分のかすかに震える声を聞きながら、
つくづく進歩がないなあと思いながら。



自分の将来を、他の誰かが、その場限りでも真剣に考えてくれる。
この歳になって、そんな瞬間に遭遇したことへの感激が
数歩遅れて押し寄せてくる。



その中で交わされた言葉。
「あまりニッチな道に進むとリスクが高くなるのでは(歳も歳だし)」
「いやいや、この人はそんなリスクはもう分かってるはずだよ」
「“リスク”というのは、開発業界で職を得られないリスクのことですよ」



金融業界の外でも、「リスク」は日常用語となっている。



そして夜、テレビでこんな言葉を見た。
「最大のリスクは何も夢中になれるものがないまま人生を終える、と言う事だ。」