Fall Break


スロー・スターターにとっては、
逆境のような1ヶ月半が過ぎた。
たしかに、1年足らずで何かを身につけようと思えば、
のんびりしている場合ではなく、とにかく走って、とりあえず走って、
一歩分でも遠いところでゴールを切る姿勢が必要なのだろう。



自分のペースに任されたら、たぶん、これまでみたいにのんびりしてしまうから
そんな性質や選好を反映させるちょっとした隙も許さない環境は
今までにはなかったものが見えたり、変わったり、生まれたり、
そういうことを期待するには、いいのかもしれない。



でもいまのところ、そんな好ましい内と外との化学反応が起きている感覚はなく、
かといって、とてもしなやかに外部環境との一体化が進んでいるわけでもなく、
長年にわたって培われ、内側にドンと居座って変わることを頑固に拒むものと、
そんなことはお構いなく、いろんなものを飲みこんでズンズン進むものとが、
お互い相容れないまま、鈍く摩擦だけを起こしているという感覚。



でも、そんな時、悔しいけど強いのは、ズンズン進む方。
だから、頑固者はさらに意固地になって、ムスっと口をつぐむ。



アパートから外に出て、最初に見える木が、
なぜかその木だけが、いつの間にか綺麗に色づいている。
こんな風に、鮮やかに、何の躊躇もなく、秋の空気に染まれたらいいのに。