進路をとれ

IDEAS初日のオリエンテーション修了後、
先生やスタッフの方が懇親会を開いてくださった。



知的探求を生業とする研究者と、
何がしかになろうと意欲を抱える研修生。
他愛もない世間話などほとんどなく、
話題は自然と私たちの問題意識の対象や
今後の進路のことに向かう。
そして、するどく切り込まれる。



漠然とした興味を語る私たちに対して、
ここから2〜3ヵ月で、具体的に
自分が対象とするテーマを絞り込むべき、と。
分かっていたものの、「漠然とした興味」を
10年以上引きずってきた私にとっては
かなりの難題である。



たとえば「資本市場のメカニズムを活用し、
貧困や環境などの社会問題の解決に役立てる方法を
探りたい」という?漠然とした興味”を抱える、私の場合。
『貧困や環境という手垢のついたテーマではなく、
その中の何を解決すべきと考えるのか』
『研究したい国や地域はないのか』など。
つまり、シミュレーションも含めて、どこの国のこういう取り組み、
といった個別具体的な事例を見つけるということか。



『ではそのために、どういった勉強が必要と考えているか?』
と聞かれ、(この時点で面接でのやりとりが思い出され、同時にあれから
自分の考えが少しも深まっても明らかにもなっていないことを反省する)
ファイナンスのような資本市場の論理と、その対極にあるとみなされてきた
社会問題解決のような公共的な分野をつなぐもの、その間に解があるような
気がしているため、どちらの道から入ったらいいか迷っている、と答えると
「開発経済」という王道をいく道もある、と。



いづれにせよ、しばらくこうした問答を繰り返し、とりあえずでも
進行方向にレンズを絞りこまなければいけない。ここが一番妥協しては
いけないところだと分かっていながら、自分が納得のいく道筋を描き出せるのか
大いに不安も残る。相当のハンデを抱える英語対策もやりながら。



それでも、精一杯悩み、考えることが許され、
何よりも、それを相手にし、答えてくれるようとする環境に
いられることへ有難さを、忘れずにいたいと思う。