書禅

年の始まりには目標を立てる。
形に残るものも、残らないものもある。
自分の力ではどうにもならないものも
やる気さえあれば今日にだってできるものもある。
そしてたいていは、いくつかは未達成で終わる。



それは、去年の一番の目標だった。
やる気さえあれば、できる類のものだった。
それなのに、未達成で終わった。



気持ちは変わらなかったけど
去年のあまりの無残な結果に
今年は目標にさえ入れるのを諦めた。




論文を書くということ。



それが今年、ひょんなことから
とりあえずだけど、形になった。



誰に頼まれたわけでも
誰が期待していたわけでもないのに
勝手に妙なプレッシャーを感じて
貴重な連休まで潰してしまった。



半分以上は
自分の不甲斐なさとの戦いだった。
その戦いに勝ったわけではないけど
寝技には持ち込んだ、という感じで。



形に残るといったって、
目に見えるモノにはなるけど、
別に世の中に残るわけでもない。



それなのに、「が」と「は」のどちらを使うか
という迷いに、いったい何時間を費やしただろうか。
徹夜したところで、誰ひとり救えるわけでもない。



「ただ、そこに坐っているだけ」という坐禅
同じくらい“無駄”なことだったと思う。
それでも、悩み書くというこの“無駄”な行為を
無価値だと思う気持ちは、いまのところ一切ない。