初秋の坐禅
ふたたび、
暮れゆく都会をバスに乗り
円融寺を訪れる。
今回のご住職の説法は
『他、是レ我ニ非ズ』
「あれは本当の自分ではない」と
過去の自分を後悔すること
「いつか立派な自分になれる」と
未来の自分に期待すること、
それらは全く無意味である。
過去の自分も、未来の自分も、その存在はなく
存在するのは、ただ、今ここに在る自分だけ。
「今ここに在る自分だけが、本当の自分である」
それを認められなければ、いつまで経っても、
自分が自分の人生の主役になることはできない・・・。
そして、
秋の涼風が人を呼んだのか、入場率120%の本堂で
坐禅をする。「今ここにある自分」と向き合わんと。
それにしても、
ご住職の話を聞くたびに、
自分が典型的な一現代社会人であることを
実感させられる。
性別も年齢も職業もライフスタイルも価値観も、
様々に異なるはずの、お互いに見ず知らずの30人近くが、
きっと一様に身につまされているのだろう。
自分が何か特別な悩みを抱えているように錯覚していても、
所詮現代人なんて、みんな似たり寄ったり。
そう思えることがまた、慰めになることもあるのだろうか。
『他、是レ我ニ非ズ』
今この瞬間、目の前にあることに
持てる限りの力を注ぎ、いのちを燃やす姿は
何をおいても美しいと思う。
でも、やっぱり難しい。
「本当の自分はこんなんじゃない!」と
思う瞬間は、数限りなくやってくるし。
きっとそれは、
誰に何と言われようと、何と思われようと
自分の信じるがままに生きていないと
たどり着けない境地なんだろうな。
それには、まだまだ修行が足りない。
坐禅の旅は、まだまだ続く。