晩秋の坐禅

会社の隣駅、東京の一等地に
静かに佇むお寺へ、初訪問。



読経、坐禅を続けて2回、再び読経、最期に礼。
およそ1時間20分の座禅会。



ただただ、文字を追うだけ。
ただただ、坐るだけ。



その何が難しいかは、やってみると、よく分かる。
ついつい、この後の食事のことを考えたり、
ついつい、この前の仕事のことを悩んだり、
意識は、未来や過去をうろうろ彷徨うだけで、
なかなか「現在」に留まろうとしない。



ようやく集中しかけてきたかなと思う頃には
拍子木の音が高らかに鳴り、終了が告げらる。
いつも、こんな感じ。



もしも今、もっともっと忙しい日々を送っていたなら、
この時間の濃さと貴さは、もっともっと身にしみるのだろうな。



それにしても、この頃からの座禅は、寒さが堪える。
「原則は素足」というルールに反したにもかかわらず、
後半は、手足が先の方から、じんじんと冷えてくる。



お寺を出て、西麻布交差点をめざして歩き、
楽しみにしていた和食屋さん「ふるけん」へと向かう。



お店の扉を開けたとたん、
すでにそこには上質な食事の時間が約束されているかのような
高揚感と安心感に包まれる。



ゆったりとした空気が漂う店内。
素朴でも、ひとつひとつに、センスの良さを感じさせる。



コースでいただいた食事は、
独創的ながら、奇抜すぎず、正統な和食から程よい距離感を保っているという印象。
先付(白子の天ぷら)、蒸し物(名物のちぃー蒸し)、お造り(さばとあおりいか)、
和え物(柿といぶりがっこ)、揚げ物(ししゃも)、ご飯(松茸と栗)、デザート(ぜんざい)
どれも、嬉しくなるほどに美味しい。



だから、というわけではないけれど、お酒もすすんだ。
ビールに始まり、だっさいの発砲にごり酒、白ワイン。



お店を出るときには、
土鍋で炊かれたご飯の残りを箱につめ、渡してくださった。
店長さんまで、わざわざ見送りに。



ZAGAT風に点数をつけるなら、FOOD26・DECOR26・SERVICE26。
バランスよく高得点。まあ、何の比較にもならないのだけど。
とにかく、入店した瞬間の直観は当たっていました。



それにしても…
美味しいものを食べているときは、簡単に集中できるんだけどな。
やっぱり、まだまだ修行が足りません。